言葉が人を動かし、そして世界を変えた。『ソロー語録』

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ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry David Thoreau、1817〜1862)は、アメリカ・マサチューセッツ州出身の作家であり、思想家、詩人、博物学者など多彩な顔を持っていました。

代表的な作品である『森の生活』をはじめ、人間と自然との関係をテーマにした作品を数多く生み出し、ガンディーやキング牧師、ネルソンダンデラといった偉大な指導者をはじめ、レイチェルカーソン、ゲーリースナイダーなどさまざまな人々に強い影響を与えました。

ソローは、自らが自然の中で生活し、その経験から多くの言葉をつむぎ出しています。そんな言葉の数々をまとめた『ソロー語録』のなかから、今回は特に印象に残ったものを紹介したいと思います。

言葉が人を動かす

僕の経験では、もっとも親身で優しく、純粋無垢で力になってくれるような友人は、自然のなかにはいくらでもいる。それは、哀れな人間嫌いの人や、やたらとふさぎこんでいる人にとっても同じことだ。自然の中に住み、自分の感覚をもち続けていれば、先の見えない憂鬱などありえない。森の生活

一年先の未来も予測できないような世界に生きている僕たちは、どうしても先の見えない憂鬱というのを感じやすくなっているのではないかと思います。

人にとってそれぞれ歩むペースが違うのは、みんな違った太鼓のリズムを聞いているからだ。自分の耳に響く行進のリズムに合わせて歩もう。それがどんな拍子であっても、どんなに遠くとも。『森の生活』

みんながみんな、おんなじリズムに合わせて進み続けるのは不可能です。他人のリズムに合わせ続けると、どこかでひずみが生じます。自分にあった行進のリズムに合わせるのが、何よりも大事なのでしょう。

未来や可能性への展望において、僕らは、あらかじめゆとりを持って、決めつけずに生活をし、できるだけ線引きは曖昧にしておくべきである。『森の生活』

自分の進む道や登る山を決めることは大事なことかもしれませんが、それにとらわれすぎるのではなく、柔軟性と余裕を持って、常に幅広い視点から物事をみることが大事なのかと思います。

 

惨めな人生でも、現実に向き合い、生きるべきだ。それを避けたり、悪態をつくべきではない。生きることそのものは、自分のありようほどひどくはないのだ。生活は富めるときほど貧しく映る。あら探しの好きな者は天国にだってあらを見つけるだろう。貧しくても自分の生活を愛そう。救貧院にいても、気持ちのよい、刺激のある、楽しい時間があるだろう。夕日は金持ちのお屋敷にも、救貧院の窓にもまぶしく映るだろう。春の訪れに、雪も同じようにドアの前で溶け出すだろう。穏やかな気持ちさえあれば、救貧院にいても満足し、宮殿に住んでいるように元気よく生きていけるにちがいない。『森の生活』

どんな境遇でもそれを受け入れ、自分を愛することというのは、非常に難しいと思います。自己肯定感を高くもつことは、非常に大切なことです。

偏見を捨てるのに遅すぎることはない。『森の生活』

いろんな知識を持つと、どうしても自分の考えに凝り固まりがちになってしまうことがあると思います。自分の持っている考えを捨てて、新しい考えを許容できるような柔軟さを持つことが大事でしょう。

関連記事:器が大きい人とは、常に器に容量がある人である。

シンプルに、シンプルに、生きよう。すべきことは百や千ではなく、二つか三つでいいのだ。『森の生活』

やりたいことがたくさんあると、あれこれ手を伸ばしがちになります。本当に大事なことは、指で数えられる程度のことなのでしょう。

木々の上に家の屋根だけが見え、誰の家かもわからないとき、僕はふと考えた。世界でもっとも価値のあるもののひとつは、見えないところにある。しばらくのあいだ、そんな思いで胸がいっぱいになった。日記

見えないところに、価値のあるものがあるというのは、僕らが生きているなかで見失いがちなものだと思います。

人にとって、急がないという決断ほど有益なものはない。『日記』

何かをするのではなく、何かをしない決断が有益なものになるという視点は、時間に追われていきる僕らに必要なことなのかもしれません。

自分の考えで頭がいっぱいになるのは作家として致命的な欠陥だ。物事は少し離れたところから語られねばならない。『日記』

集中しすぎて視野が狭くなることは、長期的に見ると何をするにしてもあまり良いことではないと思います。木を見て森を見ずということわざがありますが、全体像を把握しながら物事を進めることが大事なのでしょう。

地上に何も目新しいものがないとしても、それでも旅人は決まって空を見上げてその源泉を見つける。空は絶え間なく、新しい景色のページを開いてくれる。コンコード川とメリマック川の一週間

物事はとらえようによっては、全く違ってみえるということをこの文章を読んで思いました。

植物は、その本来の性質に従って育つことができなければ死んでしまう。人間も同じだ。一市民の反抗

人間も、自分の性質を無視して、行動し続けるといつか限界が必ずやってくるのでしょう。

熱意を失った人ほど年老いて見える。『詩』

高齢の人でも、おどろくほど若々しい人がいます。逆に若い人でも、年老いてみえる人がいます。その違いは、何かに対する熱意なのかもしれません。

最後に

ソロー語録』のなかから、印象に残った言葉を引用しながら、僕なりの解釈を簡単に書きました。ソローの言葉は、読むたびに感じることが違うので、定期的に何度でも読み返したくなります。

ソローの言葉が多くの偉人に影響を与えたように、言葉が持つ力に対して、僕たちはもっと自覚的になる必要があるのでしょう。

なぜなら、たった一言が人を傷つけることもあれば、人の胸を打ち、人生を変えてしまうことがあるのです。

それではまた!

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