朝日新聞で毎朝連載している哲学者の鷲田清一さん「折々のことば」というコラムがあります。
毎回200字程度の文量ですが、含蓄のある短い言葉と共に、鷲田さんのわかりやすい解説が掲載されています。
2017年4月24日のコラムには、セルフポートレートという手法を用い、世界的な絵画や有名人などを表現することで有名な、森村泰昌さんの絵本の中の言葉が紹介されていました。
生きがいがなくても、なんとでもなる
コラムには、森村さんの言葉とともに哲学者の鷲田清一さんの文章がつづられていました。
ふくおかさんは、なんびゃっかい、なんぜんかいと「何も することがない」とほりつづけました。森村泰昌
「何もすることがない。」とドリルで大きな板にひたすら刻みつけた人がいる。生きがいになることを何も見つけられない人は、無理に捜さず、その「ない」をそのまま形にする作業を続けていればいいと美術家は言う。それが作品(ワーク)になる。芸術の神様はけっしてあなたを見捨てないと。絵本「たいせつな わすれもの」から
やりたいことをやっている人や生きがいを持っている人はキラキラしてみえるし、何も持っていない者からすれば、自分も探さないといけないなどと焦燥感にかられることがあります。
でも、生きがいとか、やりたいことなんて簡単に見つかるものではありません。コラムには、生きがいを見つけられていないのであれば、無理に捜さず、「ない」をそのままの形にする作業を続けていればいいとあります。
「ない」をそのまま形にするとは、何もない自分を受け入れて、行動し続けるということなのではないでしょうか。
別に生きがいがなくても生きていけるし、なんとでもなります。
「何もない」も武器になる
お金がない。才能がない。スキルがない……。
やりがいとか生きがいからは、少し話がずれますが、「何も持っていないこと」も武器になると、投資信託のファンドマネージャーをしている藤野英人さんは言っています。
藤野さんは、著書の『君の人生を変える100の小さな習慣』にて、「何もないこと」のメリットについてこう述べています。以下、引用です。
ひとつは、何ももっていないから失うものもない、ということです。失うものがないから、いつでも好きなことや大好きなことにチャレンジできます。失敗したとしても、また最初から始めればいいことなのですから。
もうひとつもメリットは、周囲にマークされないということです。高学歴で家柄もよくお金持ちで外見もよくて……といういかにも成功ロードを歩みそうな人は、ライバルにマークされやすいのです。
さらに言うと、実績を高く評価されやすいという利点もあります。もともと「何もない」から出発するので、周囲の期待値も低く、ちょっとした実績を出しただけでも「よくやった!」と評価されるのです。
確かに、見方によっては「何ももってない」も武器になるのかもしれません。
最後に
やりたいこともないし、何も才能やスキルをもっていない……。
それでも何かしら行動し続ければ、きっと何か道が拓けてくるのではないでしょうか。
何もない自分を受け入れ、ちゃんと認めてあげて、自信を持って歩んでいければ、なんとかなるのだと思います。
それではまた〜!
関連記事:カリスマファンドマネージャー藤野英人さんの『君の人生を変える100の小さな習慣』
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