『食べる通信』は、生産者と消費者をつなげる理想的なメディアだと思う。『ローカルメディアのつくりかた』

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2016年6月1日に出版された『ローカルメディアのつくりかた』を読みました。

ローカルメディアとは、地方で発行される雑誌や新聞、フリーペーパーなどの情報発信を行うメディアのことを指します。本書はローカルメディアの中でも、手に取ることができる紙媒体のメディアに焦点を当てています。

本書で紹介されているローカルメディアに共通しているのが、一貫して地域に密着しており、地域の人と人同士がコミュニケーションを深めるきっかけとなるメディア(媒介役)になっていることです。

今回は、本書で取り上げられているローカルメディアの中で、特に僕が関心を持った『東北食べる通信』を紹介したいと思います。

生産者と消費者の関係を深める食べ物付き情報誌

岩手県花巻市に、全国各地に兄弟誌を持つ『東北食べる通信』の編集部があります。

『食べる通信』の特徴は、「食材が雑誌についてくる」ということです。そして、会員制の定期購読システムを採用しています。毎号特定の地域から食材が家に届くので、定期購読者は何が届くかわからないワクワク感を持つことができます。

会員制という仕組みは、アメリカで盛んになっていたCSA(Community Supported Agriculture)を参考にしました。自分が食べるものがどこから来て、誰が作ったかを気にする消費者が増えているため、会員制を取ることで生産者と消費者のコミュニティーをつくり、持続的な生産と消費のサイクルを生み出すことを狙っています。

また、『食べる通信』は、『東北食べる通信』を筆頭に横展開しており、『四国食べる通信』、『神奈川食べる通信』などそれぞれ独自に運営されています。

生産者の生き様が商品で、食べ物は付録

『食べる通信』がおもしろいのは、あくまで情報誌に扱う生産者の生き様がメインの商品であり、食べ物は付録というスタンスをとっているところです。

生協などの宅配サービスにも、生産者の情報が書いた紙が入っていますが、あくまでも「食材」がメインです。一方で、『食べる通信』では、生産者の想いや生き様などの「情報」がメインの商品なのです。

そしてその情報は、編集部がしっかりと足を運んで一次情報を取りに行っているため、生産現場のリアルを消費者に届けることができています。

消費者を生産者とつなぐ

『食べる通信』では、読者と生産者が参加する専用のフェイスブックページを運用しています。そのため、読者は実際に食べてみた感想を生産者に伝えることができるのです。

生産者も読者の声を聞くことで、それが仕事への励みにもなりますし、読者が生産者と繋がることで、より当事者意識をもって、食と向き合えると思います。

生産者と消費者が繋がることができることは、大きなメリットがあるのではないでしょうか。

最後に

『東北食べる通信』では、読者の数を1500人で上限にしています。なぜなら、食べる人とつくる人の関係を深めたいということが第一の目的であるためです。

通常メディアの影響力などを計るときは、発行部数や広告収入などの見える数字が重要視されますが、『食べる通信』では数ではなく「濃度」で勝負しています。つまり、コミュニティーの人数を増やすよりも、コミュニケーションの濃度を上げることを評価軸としているのです。

どのようなメディアを運営するにしても、食べる通信の取り組みは非常に参考になると思います。ウェブメディアの運営でも、ただページビューが多ければ良いのではなく、読者に届けるコンテンツの濃度をいろんな方向から高めていかなければいけないのでしょう。

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