信頼できる人たちだけでつくる共同体としての「講」

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日本では、中世ごろから「講」という共同体が、世間一般の人々に浸透していったそうです。

この講に関しての記述が内山節さんの『ローカリズム原論」に記載されていたので、備忘録として気になったところを書き残しておこうと思います。

講とは

講は、仏教で経典を講義する会、神社・仏閣への参詣や寄進などをする信者の団体、貯蓄や金の融通のために組織した相互扶助の団体の三つの意味で使われている。

仏教の講が中世ごろから民間に浸透する過程で、富士講、伊勢講などさまざまな信仰集団に講という名称がつけられるようになり、さらにその代参の仕組みとともに、無尽講や頼母子講といった相互扶助団体にも転用されるようになったといわれている。

江戸の町は共同体の社会

江戸という町は、幕末の頃には100万都市と言われた世界最大の都市になっています。その江戸の町も共同体を形成していました。江戸の共同体とは何かというと、よくいわれるのは長屋で、長屋共同体ですが、じつはそのほかにもいろいろな共同体があったのです。

職業別共同体もあったし、出身地別共同体もできていて、これらも強固な共同体を形成していました。もちろん、お寺の檀家、神社の氏子の共同体もあり、そのほかに「講」という組織をつくった共同体もたくさんできていました。

じつは江戸の町はいろいろな小さな共同体がたくさんあって、一人の人間がいくつかに属することというかたちをとっています。こういうかたちで助け合う共同体をたくさんつくっていた。だから江戸の町は共同体の社会だったといえるのです。

都市で発達した「講」という共同体

江戸期の共同体の一角を担っていたものに「講」がありました。講というのは、もともとは宗教的行事を実行するための運営委員会のようなかたちとして鎌倉期につくられています。お葬式を司る講が各地にできて、集落メンバーがなくなったときに講がお葬式をだすというかたちは、今日でも農村では残っている地域もあります。

地蔵講、念仏講などがいまでもあって、これも鎌倉時代にでき、一種の宗教的儀式を司っています。

江戸時代の講は、信仰、娯楽、助け合いの要素をもった任意の団体

講というのは20人から30人くらいの信頼できる人だけでつくる組織です。新しい人を入れるのにも全員一致の承認が必要になります。江戸の町で一番多かったのが富士講でした。二番目に多かったのは善光寺講で、三番目は伊勢講です。定禅寺も伊勢もいまと違い、神仏習合の自然信仰の場所でもあり、戸隠の山や伊勢の森が自然の聖地になっていました。それ以外に高尾山の講、青梅の御岳講、丹沢の大山講、日光の男体山の講、箱根権現の講などたくさんの講組織がありました。講は自主的な信仰団体としてつくられていますが、同時に娯楽の集まりでもあります。これは外国人には説明しにくいですが、日本では信仰と娯楽が一体のものとしてつくられています。もうひとつ、講は助け合いの精神ももっています。江戸時代の講は、この三つの性格(信仰、娯楽、助け合い)をもった任意の団体と思えばよいのです。

宗教面を外し、助け合いに特化した講ができる

農村部の講の場合は、生産物や労働力を提供することで、困っている人を助けることができましたが、都心部ではお金を貸すかたちで、助け合いがおこなわれるようになります。

講から十両借りたとすると、一両の利子を前払いとして九両受け取り、十両にして返すというかたちをとるのですが、このように利子は前払いですから利子が膨れることがない。もちろん返せない場合もでますが、その場合の仕組みもつくっています。代参という仕組みです。メンバーの代わりに信仰している山に参拝に行き、全員のお礼をもらって帰ってくる。そうすれば借金はチャラになるのが普通でした。こんなかたちで、講は庶民金融的な機能ももちながら、たくみな共同体として形成されていったのです。 その後、昭和恐慌が起きたこと、宗教面を外し、助け合いに特化した講もできてきます。お金を融通する講、頼母子講とか無尽ともいいますが、そういう講が昭和恐慌、世界恐慌を乗り切る庶民の知恵として全国に広がっていきました。この庶民金融を保証する講もできて、それがその後、信用金庫の母体になっていきます。このようなものを内部にもちながら日本の共同体社会はつくられていたのです。

最後に

頼母子講、無尽講といった「講」は、教科書でならった記憶がありましたが、それの元となる「講」という共同体が、江戸時代にはすでにたくさんあったということは知りませんでした。

信仰、娯楽、助け合いの三要素をもった共同体がであったという点も、非常に興味深いです。

機会を見つけて、より詳しく「講」についての理解を深めていきたいと思います。

それではまた!

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