聞き上手になるためのコツを、プロのカウンセラーから学ぶ。『プロカウンセラーの聞く技術』

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聞く技術に関して興味を持ったので『プロカウンセラーの聞く技術』という本を読みました。

筆者の東山絋久(ひがしやま ひろひさ)さんは臨床心理士であり、プロのカウンセラーです。また現在は大阪にある帝塚山学院大学で教授をされています。

この本のテーマは「聞き上手になるため」です。聞く技術をもって人間関係を円滑にしたいと考える人から、カウンセラーを目指している人。日常的にインタビューする人にとっても、参考になるエッセンスが詰まっています。

本書における31のポイントの中で、私が特に気になったところを挙げると、

尋ねてばかりいると、自分が望んでいる情報ばかり集める結果になり、相手がその人なりの立場から発した情報が得られなくなってしまいます。

相手の話に興味を持つ。興味の持てない話の時こそ、相手を理解するチャンスなのです。プロのカウンセラーは、相談者がどうしてそのような思いをするのか、どうしてそのような受け取り方、感じ方をするのかに興味をもちます。

話し相手が真剣に訴えているのに、聞き手は簡単に話を流してしまう。そんなことから、関係がギクシャクしてしまうこともあるのではないでしょうか。相手の話に興味を持つ。非常にシンプルなエッセンスでありながら、関係を円滑にするためには、とっても大事だと思いました。

以下は本書における「31の聞く技術」を簡単にまとめたものです。参考になることがあると思うので、ぜひチェックしてみてください。


1、聞き手は話さない

相手の前では、ゆったりと構えていること。そうすると、不思議な事に必ずと言っていいほど相手から話を切り出します。あなたはそれを「素直」に聞けばいいだけです。

2、真剣に聞けるのは、1時間以内

人の話を聞くことは疲れることです。相手中心で集中して聞くと、話し手の方は癒されるが聞き手にとっては無防備となるため、相手のことばかりを考え過ぎると自分が壊れてしまう可能性があります。

3、相づちを打つ

「話をよく聞いてるよ」と、相手に伝える最良のコミュニケーション手段は、相槌を打つことです。人間は相手を判断するために、言葉より態度を基準にします。話し手は相手の相づちをみて、自分の話が肯定的に聞かれていると感じ、結果として話が弾みます。

4、相づちの種類は豊かに

プロカウンセラーの聞き手は、相づちの種類をたくさんもっています。肯定的な相づちの種類が増えたら、次に否定的なニュアンスを加味できる相づちに進みましょう。

相手の話したことを繰り返すことは、相づちの高等テクニックです。ただし、その場合は「明快に」「短く」「要点をつかんで」「相手の使った言葉で」というのが大切なポイントです。

5、相づちはタイミング

相づちは会話の流れに逆らわず使うのが大切です。話をよく聞いてる、すべて受容していると伝わる相づちを入れるのです。

6、避雷針になる

プロの聞き手は避雷針のようなものです。避雷針は雷を避けるのではなく、雷に落ちてもらう設備です。プロの聞き手は、愚痴でも、怒りでも、相談者のたまった感情を吐き出してもらうようにしますが、その話をすべて自分の身に溜めたのでは精神的に参ってしまいます。

そのため、相手の話を自分の中に溜め込まず、自分を通して外に流し出すことで、自身の精神衛生を保つことが出来ます。

7、昔の主婦は聞き上手

昔の主婦の井戸端会議は、みんな同じだという地平に立ち、相手の話を聞きながら、相手に特有な事柄は聞き流しているという巧妙な聞き方でした。今の若い女性は、聞きすぎてしまったり、話しすぎてしまったりして、適切な距離が取れずに人間関係がうまくいかないことが多くあります。

8、自分のことは話さない

相手の話す時間を取らないというのは、聞き手の大原則です。人間は話を聞くより話をするほうが好きです。そのため、もしあなたが聞き手に立つ必要があるときは、よほど心がけていないと、ついつい聞き手モードから話してモードになってしまいます。

プロのカウンセラーが自分のことを話さないもうひとつの大きな理由は、自分の個人的な話で相手に直接影響を与えることを、極力避けたいと思っているからです。カウンセラーのカリスマ性が強いと相談者はそこに引きつけられ、一見すると悩みが解消したように見えるのですが、それは相手と同一視した借り物の解決です。宗教でよく起こる現象です。

9、他人のことはできない

悩みを解決できるように、他者ができることといえば、心のケアです。心のケアの最良のものは、悩みを批判したり、助言することではなく、ただひたすら聞いてあげることなのです。だからこそ、カウンセリングは、相談者の話を聞くことが中心なのです。

10、聞かれたことしか話さない

この項は、8項の「自分のことは話さない」と対になっています。話し手にとって「自分のことは話さない」とは、聞かれなかったら話さないということで、聞かれたらそのことだけを話すという意味です。

ここで覚えておきたいのが、「聞き手に関連することを、話し手が質問することはまずない」と言っていいでしょう。そのため、聞かれたことにあなたの立場から答えると、話が行き詰まってしまう可能性があります。

11、質問には二種類ある

質問には二種類あります。一つは客観的なことで、誰が質問しても、誰が答えても内容が変わらないものです。もう一つは聞かれた本人が考えなければ答えがでないたぐいの内容です。

私達が聞き上手になるコツの1つは、むずかしい質問、正解がわからない質問を、正答が単一でわかりやすい質問から分離することです。答えられない質問には答えないで相手の心を聞くことが、聞き上手のコツの一つです。

12、情報以外の助言は無効

助言は相手の感情に訴えなければ意味がありません。相手の心がわかったときに、警告的な助言ではなく、安心感を与えるような助言、人間の知恵の一言が言えます。これができるためには、話し手が、聞き手の人格を尊敬していることが必要です。

聞き手が十分に相手の話を聞かず、しかも聞き手が助言した知恵と話し手の人格に乖離がありますと、その助言は相手の心に入っていかず、意味のないものになります。

13、相手の話に興味を持つ

相手の話に興味が持てるときは、話を聞くのも楽です。興味の持てない話の時こそ相手を理解するチャンスなのです。プロのカウンセラーは、相談者がどうしてそのような思いをするのか、どうしてそのような受け取り方、感じ方をするのかに興味をもちます。プロのカウンセラーの聞き方は、すべてが相手中心なのです。

14、教えるより、教えてもらう態度で

臨床心理士は、相談者当人が訴える以上、一見異常がなさそうでも、決して異常なしとは言いません。臨床心理士は心の専門家ですから「その人の心は、その人にしかわからない」ことを知っているので、相談者に興味を持ち、話を通して教えてもらおうとします。

15、素直に聞くのが極意

何が「素直」かというのは難しいことです。これは、訓練しないとできないものです。しかし、相手に素直であるのと、自分に素直であることを区別する訓練さえすれば、そんなに難しいことではありません。相手のことは、相手の思うままに聞き、自分の思いは相手が聞くまで胸にしまっているだけです。相手が聞かない以上、話す必要はありません。

16、聞き上手には上下関係なし

上司と部下が会合を持つと、それが私的なものでも、上司の方が多く話しています。そのため上司は話すばかりで聞くのが下手になります。

人間は聞くことによって相手を知るので、聞けない相手の考えていることや情報がわからず、こちらの判断だけでものごとを決めていきますので、部下はわかってもらった感じがもてないからです。人の話をよく聞く人が人格者ということになります。

17、寡黙と「いま・ここ」の感想

優秀なセールスマンは、誠実で寡黙な人が多いです。セールスマンでも、雄弁な人の言葉ほど、あまり信じられないものです。他人には現実と事実は見せるだけでいいのです。饒舌に売り込まなねばならないのは、事実が言葉より劣っているからです。

18、嘘はつかない、飾らない

オープンな人は自分を飾りません。そのままの自分を晒してくれます。これが人に安心感を与えるのです。自分の欠点を素直に認められるような人だと、こちらの欠点もそのまま認めてくれるという、信頼感が生まれます。

19、相手の話は相手のこと

「相手の話は相手のこと」が、温かい気持ちでできるためには、相手の心に対する理解が必要です。家族や友達など自分にとって大切な人を失わないために、つねに相手を理解しようと心がけることが第一なのです。

自分の立場を主張するのではなく、相手の気持ちになって、しかも相手と自分を混同しないことなのです。「わかるが勝ち」です。

20、評論家にならない

自分の気持ちをある物事にどれくらい関わらせているかの程度を、専門用語では「自我関心度」といいます。聞き手の自我関心が低いと、話し手の話す気持ちが萎えてしまいます。自我関心が低い発言は「評論家的」と言われています。

もし、あなたが話しかけている人への共感性を失いますと、評論家的になってしまいます。

21、共感とは芝居上手

聞き手に必要な態度の一つに「共感性」があります。共感性とは、相手が感じているように感じることです。自分の心が相手の心と同じ場に立つことです。

聞き手が共感力にかけると話しては話を続けられませんが、逆に共感力が強すぎると、話し手が、聞いてくれる相手を自分と同じだと思い込み、聞き手の現実がわからなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

22、LISTENせよ、ASKするな

尋ねると聞くのといちばん大きな差は、「尋ねる」のが質問する人の意図に沿っているのに対して、「聞く」のは話し手の意図にそっていることです。そのため尋ねてばかりいると、自分が望んでいる情報ばかり集める結果になり、相手がその人なりの立場から発した情報が得られなくなってしまいます。

聞く態度の基本は、聞き手と話し手が対等な人間関係を持っていることです。報道関係者のようなプロでも、子供をインタビューするのはなかなか難しいそうです。なぜなら、大概の大人が子どもと話をするときにこの基本を守っていないからです。

23、話し手の波に乗る

一対一の会話では、会話のキャッチボールにプラスしてリズム感が必要です。リズムがない会話ははずみません。ではどうすればリズムが生まれてくるかと言うと、話し手のリズムに合わせて、話しやすい返事を返すのです。

また、話の内容だけでなく、話し手が語る感情や態度に乗れるように聞けば、聞き上手も中級を卒業です。

24,言い訳しない

軽い抗議や愚痴は、日常的にあなたに向けられます。この抗議や愚痴を、言い訳せずにじっくり聞いて、あなたの悪いところや落ち度があれば謝ってください。償うべきことならば、償ってみてください。相手は必ず許してくれるでしょう。そして、その人との以前の関係が良くなります。

約束を破った時は、言い訳ではなく、その10倍も約束を守ることによってしか信頼は回復せれません。相手の抗議や愚痴を聞いて、相手が何によってそれを償ってほしいかを理解し、それを実行する以外に道はありません。

25、説明しない

論理と感情の会話が実りあるものにするためには、相手が感情を出した時は、こちらの説明をやめ、相手の感情を受け止めていくことが大切です。

このような論理と感情の会話が、会社や公の席ではめったにおこらないのは、論理が優先されるからです。なので、公式な関係ではなかなか仲良しになれないのです。

ちなみに論理と論理の戦いは、たいてい論理の整合性がどちら側にもあって決着がつない場合が多いです。

26、話には小道具がいる

例えば、話をするのは2人でも、部屋に椅子が2つだけだと話しづらいでしょう。そこで、それぞれの横に余分な椅子を1つずつ置くだけで、雰囲気が随分変わります。

このように、話をする場所をどのようにアレンジするかで、話し合う場の雰囲気が大きく変わっていきます。

27、お茶室は最高の場

お茶室ほど、小道具と雰囲気が揃っている部屋はありません。適度な光が間接的に差し込み、お花が生けてあり、掛け軸がかかっており、四畳半という広さは、広すぎもせず、狭過ぎもしません。その他にもさまざまな良い話し合いの場の雰囲気をつくる要素が、お茶室にはあります。

28、したくない話ほど前置きが長い

カウンセラーは「前置きが長いのは、話しにくい話」とわかっているので、来談者に調子をあわせて前置きの話を聞いています。相談者が本題に入らない場合でも十分に前置きでさせてあげることが大切です。

29、聞き出そうとしない

相手の話を聞く態度で、たいへん差し障りがあることがあります。それは、相手から話しを聞き出そうとする態度なのです。

30、秘密の話には羽がある

抑制した秘密はうまく開かれると成長に結びつきます。秘密を守ってくれる人に話すと、話し手はだんだん痛みを感じながらも、自分がどのようにすればいいかがわかってきます。そのため、聞き上手になるには、人の秘密を抱え込んでおき容量が必要です。

31、沈黙と間の効用

プロのカウンセラーの会話と一般の人の会話の違う点は、沈黙と間を多用することです。

プロカウンセラーのところへ来る相談者は、深刻な悩みを抱えている方がほとんどなので、双方の会話はとくに沈黙が重要になります。これは、来談者が自分の考えを深め、自分がわかり、自己に沈潜するために必要な時間といってよいです。

沈黙や間は、会話は途切れているのではありません。心のなかの会話がずっと続いているのです。

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