書評」カテゴリーアーカイブ

過去に経験した痛みを未来に活すことで、その痛みが人生にとってかけがえのないものになる。安田祐輔さん著『暗闇でも走る』

何度でもやり直すことのできる社会をつくる。

ひきこもりや不登校など、なにかしらの課題を抱えた人々を主な対象に学習支援を行なっている個別指導塾「キズキ共育塾」を経営する安田祐輔さんは自身の著書、『暗闇でも走る』のなかで、こう語ります。

本書を読んで、共感した事、印象に残ったことはたくさんあります。 続きを読む

人生に悩んだら、岡本太郎を読むべし。『自分の中に毒を持て』

著名な芸術家であった岡本太郎さんが亡くなってから、約20年の時が流れました。

僕が、岡本太郎という名前を聞いて思い浮かべることと言えば、いわゆる「芸術は爆発だ!」という言葉や日本万国の会場に制作された「太陽の塔」くらいです。

彼の著書はこれまで読んだことがなかったのですが、今回、『自分の中に毒を持て』を読んでました。

正直、この本を読み終わったあと、思いっきり本書をどこかに投げ捨てたくなりました。内容がダメだからとかではなく、彼が綴った言葉に終始圧倒され、うずうずするような高揚感を覚えたからです。

内容を取り上げようかと思っていたのですが、僕が感想を述べる必要がないと感じました。というのは、岡本太郎さんの言葉は、他人のフィルターを通して感じるものではないと判断したからです。

まだ読んだことがないという人は、ぜひ一度、騙されたと思って手にとってほしいと思います。

人生において大切だと思えるエッセンスが、たくさん詰まっています。

言葉が人を動かし、そして世界を変えた。『ソロー語録』

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry David Thoreau、1817〜1862)は、アメリカ・マサチューセッツ州出身の作家であり、思想家、詩人、博物学者など多彩な顔を持っていました。

代表的な作品である『森の生活』をはじめ、人間と自然との関係をテーマにした作品を数多く生み出し、ガンディーやキング牧師、ネルソンダンデラといった偉大な指導者をはじめ、レイチェルカーソン、ゲーリースナイダーなどさまざまな人々に強い影響を与えました。

ソローは、自らが自然の中で生活し、その経験から多くの言葉をつむぎ出しています。そんな言葉の数々をまとめた『ソロー語録』のなかから、今回は特に印象に残ったものを紹介したいと思います。 続きを読む

あたりまえの幸せは、いくらでも身近に転がっている。『99%のありがとう ALSに奪えないもの』

ある日突然、医者からこう宣告されたらなにを思うでしょうか。

あなたはこれからゆっくりと全身麻痺になり、死んでいきます。治療薬はありません。

広告マンだった藤田正裕さんは30歳の誕生日直前に、医師から上記のような内容の宣告をされました。病名は筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう) Amyotrophic Lateral Sclerosis(以下ALS)。

ALSと聞くと、ALS の研究を支援するためにアメリカ合衆国で始まった運動「アイス・バケツ・チャレンジ」がTwitterやFacebookなどのSNSを通して社会現象化し、話題になったことが記憶に新しいです。

どんな病気かというと、体を動かすための神経が少しずつ壊れてしまう病気です。 続きを読む

経済学者・宇沢弘文が提唱した、社会的共通資本という考え方。

社会的共通資本とは、日本の経済学者であった宇沢弘文さん(1928-2014年)が提唱した概念です。

岩波新書から、『社会的共通資本』が出版されていますが、僕が今回読んだのは宇沢さんの著書『経済学と人間の心』です。

社会的共通資本について、少し難しい言葉もありますが、説明している箇所があったので紹介します。 続きを読む

広告やメディアで人を動かそうとするのはあきらめる。

2014年7月に第1刷が発行された田端信太郎さんと本田哲也さん共著、『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」は、メディアや広告について考える上で、示唆に富む本でした。

「心」=人の気持ち、感情、本音(インサイト)
「技」=メディアやコンテンツの戦略と戦術
「体」=体験、体感

本書の中では、上記の「心技体」がメディアや広告を通じて人を動かすために必要な要素として紹介されています。今回は、メディアや広告で人を動かすことについてです。 続きを読む

健全な社会とは、多様な「精神の習慣」が存在する社会である。

哲学者の内山節さんの著書『共同体の基礎理論』の中で、19世紀中頃にフランスで活躍した政治社会学者のトクヴィルが取り上げられています。

トクヴィルの代表作に『アメリカの民主政治』があります。1830年代は、アメリカは世界で最も民主的な国、民主主義が確立されている国であると思われていましたが、トクヴィルはそのアメリカに「強権的なもの」、「全体主義的なもの」、「抑圧的なもの」を見ました。

それはなぜだったのかを、内山さんが非常に分かりやすく、紐解いています。今回は、人々の考え方が社会を形作るという視点について紹介します。 続きを読む

資本主義の本質は、資本を高速で増やしながら経済を発展させていくこと。

株式会社メタップスの佐藤航陽さんが書いた『未来に先回りする思考法』の中で、資本主義がなぜ農業や工業分野などから、金融や情報通信などの物理的な制約に縛られない分野に移っていったのかが非常にわかりやすく説明されているので、シェアしたいと思います。 続きを読む

不安感に苛まれながら悩んで苦しんだ時期が、納得感のある生き方を生む。『悩みどころと逃げどころ』

鋭い視点を持ち、社会をわかりやすく紐解いているブログ「Chikirinの日記」を運営しているちきりんさんと、日本人初のプロゲーマーで、世界中の格闘ゲームファンから支持されている梅原大吾さんの対談本である『悩みどころと逃げどころ』を読みました。

まったく生い立ちの違う二人の対談ですが、お二人とも本質的に物事を見る目を持っているので、たとえ意見が違ってもそこから対話を通じて内容が深まっていきます。

今回、特に印象に残った対談箇所を、2つ挙げてみました。 続きを読む