ある日突然、医者からこう宣告されたらなにを思うでしょうか。
あなたはこれからゆっくりと全身麻痺になり、死んでいきます。治療薬はありません。
広告マンだった藤田正裕さんは30歳の誕生日直前に、医師から上記のような内容の宣告をされました。病名は筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう) Amyotrophic Lateral Sclerosis(以下ALS)。
ALSと聞くと、ALS の研究を支援するためにアメリカ合衆国で始まった運動「アイス・バケツ・チャレンジ」がTwitterやFacebookなどのSNSを通して社会現象化し、話題になったことが記憶に新しいです。
どんな病気かというと、体を動かすための神経が少しずつ壊れてしまう病気です。
はじめは手足が動きにくくなり、物をよく落としたりします。それからだんだん立てなくなり、座れなくなります。顔の筋肉が動かしにくくなり、しゃべりにくくなります。そして、寝たきりになり体が動かなくなります。最終的に呼吸する筋肉がだめになってしまい、息が止まりまってしまう……。
参照: ALS 発症年齢
そんなALSと闘っている藤田正裕さんの著書『99%のありがとう ALSに奪えないもの』を読んで、感じたことを紹介したいと思います。
『99%のありがとう ALSに奪えないもの』
「私は今、この文章を目で書いている」という書き出しで始まるこの本は、日記のような形で彼の人生が綴られています。
彼の文章からは、ALSに対する憎しみ、生への嘱望、死への恐怖、健常者に対する嫉妬など色んな感情が現れています。
印象に残った彼の言葉を一部分ですが、紹介します。
その状況をどうにかする選択肢があるからこそ、その愚痴や言い訳を吐ける。その出来事に参加することさえ取り上げられたとき、さっきまで愚痴ってたことがありがたいことに聞こえてくるはずだよ。
もしできることがあるなら、今やるべき。
ALSにここまで運動神経をやられるのに2〜3年かかった。けど、いまや1ミリも動かない。
たぶん皆は、僕がコーラ、ビール、ジュースとかピザ、寿司、ハンバーガーを口にしたがっていると思っているだろう。けど、一番欲しているのは、普通の水、冷たい水だ。それだけ。飾りがあるのもいいが、やっぱり本質には勝てない。
常に死にたいと思う、そして生きたいと思う。その繰り返し。それが闘い。
彼のありのままの気持ちから発する言葉から、彼の力強さを感じます。
あたりまえと思っていることが実は素晴らしくありがたいことなんだと、気付かさせてくれます。ご飯が食べられて幸せ。友達と話せて幸せ。家族と一緒に過ごせて幸せ。公園で散歩ができて幸せ。悩むことができて幸せ。
現代の私たちは、何もかも求め過ぎなのかもしれません。幸せを感じる基準を高く設定しすぎているのではないでしょうか。「幸せのハードル」を動かすことで、あたりまえであることの幸せを感じられるはずです。
藤田さんの想い
藤田正裕さんは、ALSの認知度の向上、治療法の確立、そして患者のコミュニケーションにまつわる医療政策の改革を訴えるため、一般社団法人END ALSを立ち上げています。一般社団法人 END ALS
また、ブログなどを通じてメッセージを発信し続けています。
ブログ:honeyee.com
最後になりますが、彼がTED×TOKYO2014に登壇した時の動画もありますのでこちらもシェアしますので、ぜひチェックしてみてください。
それではまた!
【TED HP】
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